こんにちは、元警察のyotaroです。
今回は、「警察は人手不足なのか?」「人手不足になっている理由はなにか?」
といった疑問についてお答えします。
警察署=現場レベルは間違いなく人手不足です
あくまで私の主観ですが、現場レベルでは間違いなく人手不足です。
長時間労働、休日出勤、夜間呼び出し等、今思えば異常な労働環境でした。
激務な刑事課なんかは、毎月の残業時間が100時間越えが何人も居ました。
警察官になる前に知っておきたい!警察官がブラックだと思われる理由5選!(労働環境編)
警察署が人手不足になる理由
純粋に人員が足りない
常に定数未満での勤務を強いられる
警察は、各警察署ごとに人員の定数が決められています
限られた人員の中で、当直勤務=夜勤も回さなければなりません。
定数の中には、
・病休で休んでいる人
・育休で休んでいる人
・病気で泊まり勤務ができない人
・研修・入校で不在になる人
も含まれており、その人達の分は、元気な人たちで当直をカバーする必要があります。
通常であれば、当直勤務は6~8日に1度ですが、人が少ないと5日に1度当直が回ってくるようになります。
休むのは仕方ないとは思いますが、人員として計上されると残された人たちはたまったものではありません。
休みの人が多ければ多いほど、残された人の泊り勤務の頻度が増えたり、休みが取りにくくなったり、純粋に業務負担が増えたりと様々な弊害があります。
業務の幅が多すぎる
警察官の業務の幅は年々広がっています。
本来は警察が担当する仕事でないものですら、警察官が処理しています。
例として、道路上の落下物の通報。
これは県や市の道路管理者に通報するのが正解なのですが、警察に通報がきます。
警察としては、通報がある以上対応せざるを得ません。
なぜか。
それは、警察法第2条という万能法律のせいです。
警察法
(警察の責務)
第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
この警察法第2条、警察のやってる仕事で法的根拠がよくわからん場合は、だいたいこれが仕事の根拠になるのです。
それゆえに、通報があればとりあえず動くみたいなことになるのです。
上に挙げた落下物の例だと、とりあえず警察が落下物を道路上から取り除きます。
その後、警察から道路管理者である市や県にに連絡し、落下物の回収をやってもらいます。
他の例として、精神疾患の人が暴れた時を入院させる時の対応も挙げられます。
以下の記事を参照ください。
(1)ー2「保健所への通報意味ない」措置診察の決定、県のみに権限
第1章「他害」(2)
岐阜市内の警察署の玄関で署員が取り囲んだ高齢女性は、その夜、県内の精神科病院への措置入院が決まった。「何時間もわめいて叫んで、旦那さんもお手上げ。診察までにこんなに時間がかかるとは」。対応した署員の一人が、眠い目をこすりながら話した。
精神疾患の症状で自傷他害の恐れがある人を警察官が見つけた場合、最寄りの保健所へ直ちに通報するよう定める精神保健福祉法23条。署員に促されて別室に移ってからも暴れたという高齢女性は、いったんは落ち着きを取り戻して帰宅することになったものの、署の建物を出たところで再び暴れ始めた。警察は保健所への通報を試みた。
◆国「原則、現場へ職員派遣」
厚生労働省が2018年に各都道府県に通知した「措置入院の運用に関するガイドライン」では、警察官からの通報を保健所が受理した場合、原則として当事者がいる場所へ職員を派遣するよう明記している。職員については「『精神保健福祉相談員』等の専門職であることが望ましい」との記載もある。一方で、今回の件の対応に当たった警察官は「保健所職員は全て電話で対応していた。署には来ていないので、高齢女性の顔さえ見ていないはずだ」と明かす。
(中略)
匿名を条件として取材に応じた複数の警察官が証言する。
当直勤務に当たるベテランは、「2時間ぐらい待たないと保健所職員が来ないことがある」。夜間に通報しても朝まで待たされ、署内でずっと当事者に付き添うこともあるという。「保健所は幻覚や幻聴、意味不明な言動があるかを特に重視しているようで、少しでも外れると診察につながらない」と話すのは、生活安全部門での勤務が長い警察官。そして、多くの警察官が話したのは同じ言葉だった。「保健所に通報しても意味はない」
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/145478
簡単に言えば、
「暴れている精神異常者をすぐ入院させたいのに、入院の可否を判断する保健所の職員がなかなか来ない」
ってことです。
以上は岐阜県の例ですが、全く同じことが全国どこでも起きています。
私自身も当直の時、同様の経験がありました。
保健所の担当部署に電話をしたときに
「時間外だからしばらく警察で見ていてくれ」
と平気で言う連中です。
警察官と他の公務員で、こうも仕事に対する責任感が違うのかと憤りを覚えました。
業務負担に偏りがある 地域課に蔓延る「ゴンゾウ」の存在
警察組織、とくに警察官全体の4割を占める地域警察部門は、 個人の業務負担に大きな偏りがあります。
仕事をやる人はたくさんやるが、やらない人は徹底的にやらないといった現象が起きているのです。
若手に仕事を押し付け、 自分は楽をしているベテランの姿はどこの警察署でも見受けられるでしょう。
こうしたベテランで仕事をしない警察官は「ゴンゾウ」と呼ばれ、 地域警察官の恥部として今も存在し続けています。