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ハイビーム走行は交通違反になるって本当?【元警察官が取締りの実態も解説】

この記事を書いた人
yotaro

警察歴8年、元某県警の巡査部長。
結婚を機に転職し、今は別の仕事をしています。
警察に興味のある方や、警察官試験に興味のある方向けに情報を発信しています。
実際の現場で経験した「リアルな声」をお届けしたいと思っています。

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こんにちは、元警察官のyotaroです。

今回は、車のハイビーム走行に関する記事です。

「夜間はハイビームじゃないとダメ」という話を聞く一方、

「ハイビーム走行は交通違反になるんじゃないの?」

といった話を聞いたことある、という人もいますよね。

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車両とすれ違う際にハイビームだと交通違反になる可能性がある!

夜間、すれ違う車両の運転手をハイビームで照射した場合、「減光等義務違反」の違反に該当する可能性があります。

夜間走行中は、基本的にハイビームで走行するのが安全ですが、車両とすれ違う際にはロービームにしましょう。

ロービームは別名「すれ違い用前照灯」とも言います。

この名称からも、夜間はハイビームが基本であることが分かりますね。

違反名:減光等義務違反

減光等義務違反の反則金、点数は以下のようになっています。

減光等義務違反・・・反則金 大型7,000円 普通 6,000円 二輪 6,000円 原付 5,000円

          点数 1点

交通違反の中では比較的軽微な違反です。

根拠法令:道路交通法第52条第2項

参考までに、交通違反の根拠となる法令を確認しておきましょう。

道路交通法第52条第2項をお読みください。

道路交通法

(車両等の灯火)

第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

(罰則 第一項については第百二十条第一項第五号、同条第三項 第二項については第百十七条の二第一項第四号、第百十七条の二の二第一項第八号ヘ、第百二十条第一項第六号、同条第三項)

昭和三十五年法律第百五号 道路交通法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
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減光等義務違反の交通取締りの実態

さて、すれ違う際にハイビームだと交通違反になるとお伝えしてきました。

しかし、警察の交通取締りの実態として、この「減光等義務違反」はほとんど検挙されていません。

私も実際に検挙したことはありませんし、周りの警察官を見渡しても「ハイビームの交通違反を検挙した」といった話は聞いたことはありません。

警察庁が出している交通違反検挙件数の統計を見ても、減光等義務違反の内訳の記載は無く、実際に何件取締りが行われているかは確認できません。

参考:内閣府HP 交通指導取締りの状況

減光義務違反は立証が難しい

減光義務違反は、単純に「ハイビームで他の車両とすれ違ったらアウト」といった類のものではありません。

条文を再度確認してみます。

 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

昭和三十五年法律第百五号 道路交通法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

減光等義務違反を検挙するには、「他の車両等の交通を妨げるおそれがあること」を立証するする必要があります。

つまり、ハイビームによって「すれ違った運転手の運転に支障が出た」ことを証明する必要があるのです。

そのことを証明するには、ハイビームで走行した運転手のみならず、「すれ違った際にハイビームで照らされた運転手」からも話を聞く必要があります。

夜間パトカーで警ら中、すれ違った双方の車を停止させるなんて、ほぼ不可能です(笑)

やるにしても、周囲の交通に相当な危険を生じさせることになるでしょう。

それで仮に交通事故を起こしてしまったら、交通違反取締りの本末転倒ですね。

軽い違反でありながら、立証は極めて難しい、それが減光等義務違反です。

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