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【広島県警留置場】警察庁が被留置者の監視強化を現場に指示!その悪影響について考察

この記事を書いた人
yotaro

警察歴8年、元某県警の巡査部長。
結婚を機に転職し、今は別の仕事をしています。
警察に興味のある方や、警察官試験に興味のある方向けに情報を発信しています。
実際の現場で経験した「リアルな声」をお届けしたいと思っています。

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こんにちは、元警察官のyotaroです。

例の元岡山県警「パパ活」警視正の死亡事故を受けて、警察庁は被留置者の監視強化を指示したとのことです。

報道は下記のとおりです。

警察庁が“自殺の恐れある被留置者への監視強化”を指示 警視正の勾留中死亡事案を受けて

女性に性的暴行を加えたとして逮捕・起訴された警視正の男が勾留中に死亡したことを受け、警察庁はきのう、全国の警察に対して自殺の恐れがある留置されている人の監視を強化するよう指示しました。 不同意性交などの疑いで逮捕・起訴されていた中国四国管区警察学校の警視正・岩本幸一被告は、17日の夜、広島中央警察署の留置施設のトイレで意識不明の状態で発見され、収容先の病院で死亡が確認されました。 遺書のようなものが見つかっていて、自殺とみられています。 これを受けて、警察庁はきのう、全国の警察の留置管理担当者に対し、自殺などの恐れがある留置されている人について、状況や言動に応じて監視を強化するなどの対策を取るよう指示しました。 きょう、松村国家公安委員長は「今回の事案が発生したことは誠に遺憾」「被留置者の自殺などの各種事故を防止するため、留置管理業務の徹底を図るよう指導していきたいと考えている」などと述べました。

TBSテレビ

警察庁が“自殺の恐れある被留置者への監視強化”を指示 警視正の勾留中死亡事案を受けて(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース

今回の警視正、最低な不祥事を起こしただけでなく、現場で働く警察官にも大迷惑をなことをしてくれたな、という印象です。

以下解説していきます。

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現状でも逃走・自殺の恐れがある被留置者には対面監視が行われている

現状においても、自殺や逃走などの危険性がある被留置者は「特別要注意者」に指定され、監視が強化されます。

具体的には、

・通常の勤務員プラス1名で監視を行う

・面前で対面監視を行う

・巡回監視の頻度を増やす

等の措置がとられていますが、広島県警でどういった監視強化が行われていたのかは定かではありません。

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特別要注意者の監視は非番・週休の警察官によって行われている可能性がある

この特別要注意者の対応は、基本的に非番や週休日の警察官によって補われていた可能性があります。

どういうことかというと、夜勤明けで疲労困憊の警察官に被留置者の監視に充てているということです。

私自身経験がありますが、疲れ切った非番の夜中から週休日にかけて、通常の勤務とは別に8時間近くひたすら対面監視をするのです。

超過勤務手当は出ませんし、代休もありません。

留置場では私語も禁止されていることから、ひたすら被留置人を監視し続ける苦行になるわけです。

広島中央警察署がどのような体制を取っていたのか定かではありませんが、疲れ切った警察官が寝落ちしている隙に自殺されてしまったのでしょう。

これは広島県警の失態ではありますが、対面監視の辛さを知っている身分からすれば、気の毒な失態ではあります。

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被留置者の監視強化は現場にどんな悪影響があるか?

現場の負担増加・士気低下が懸念される

ただでさえ負担が多い特別要注意者の留置業務が、さらに負担が増えることが予想されます。

・監視にあてる警察官を増やす

・巡回の頻度を増やす

・余計な報告様式が増える

等が予想されますが、いずれにせよ現場負担の増大は避けられません。

警察官の定数は増やせませんし、増える仕事に対してはマンパワーで対応するしかないからです。

当然ですが、非番週休に対面監視を充てられると、次の泊まり勤務なんて疲れてやる気が出ません。

組織全体の士気低下につながることが予想されます。

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留置業務は業務委託でも良いのでは?機械による監視も検討すべき

はっきり言って、留置業務なんてほぼほぼ時間の無駄です。

現職だった頃に、「留置場勤務は刑事警察の登竜門だ!」等と言う意見も聞きました。

しかし、留置場経験が無くても優秀な刑事さんは居ますし、この意見はやりがいのない留置勤務に充てられた人への慰めの言葉に過ぎません。

なんなら、「留置を経験した人は希望の部署に行けるように配慮してあげようね」なんて内容の通達文が公式に出るくらいなので、ただの苦行なわけです。

法令・規則を変えるなりしてでも、留置業務は業務委託なり機械警備なりを導入した方がいいです。

犯罪捜査ができる貴重な警察官を、被留置人の面倒を見るだけのホテルマンにしておくことは人的資源の無駄遣いとすら感じます。

警察あるあるですが、とにかく金をかけずに現場の工夫やマンパワーで全て解決しようとする傾向があります。

現場にいる警察官が、あまり予算取りや政策等に関心が無いのをいいことに、警察庁の事務方によって安直な方法で不祥事防止などの対策が行われているのは本当に許せません。

以前から懸念されていた、交番のセキュリティや拳銃の奪われやすさの対策についても、実際に奪われたり殉職してからあわてて取り掛かる始末です。

今回の警察庁も、口先だけでロクに金を使わずに対策をしようとしているのが見え見えなので、本当に現場目線では腹立たしく思います。

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警察の組織事情