こんにちは、元警察官のyotaroです。
今回は、「警視庁と警察庁の違い」について解説します。
この2つの組織、名称が似ているので非常にわかりにくいですよね。
私自身、警察官を志望するまで違いがよく分かっていませんでした(笑)
分かりやすく解説しますので、ぜひご覧ください。
警視庁とは
警視庁とは、東京都を管轄する警察組織です。
言うならば、「東京都警察」が警視庁ですね。
埼玉県警、神奈川県警のように、「東京都警」とした方が、わかりやすい?かもしれませんね。
警察法には、警視庁について以下のように規定しています。
警察法
(警視庁及び道府県警察本部)
第四十七条 都警察の本部として警視庁を、道府県警察の本部として道府県警察本部を置く。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000162
なぜ警視庁は「東京都警」ではない?
警視庁という名称には、 明治時代から続く歴史があります。
敗戦後、GHQによって大阪にも「警視庁」が発足した時期もあったようですが、最終的に警視庁は東京にだけ置かれることになりました。
詳細はwikipediaをご覧ください(笑)
警視庁は他の道府県よりワンランク上の立場
警視庁のトップは、警視総監。
道府県警察のトップは、○○警察本部長です。
全国警察のトップの中でも、警視庁のトップ警視総監だけは、任命したり辞めさせるのに、内閣総理大臣の承認が必要です。
警察法
(警視総監の任免)
第四十九条 警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上内閣総理大臣の承認を得て、任免する。
(警察本部長の任免)
第五十条 警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て、任免する。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000162
警察法にも記載のあるとおり、 警視庁のトップだけは格上の扱いなのです。
警察本部長は、「警視監」もしくは「警視長」の階級ですが、警視庁のトップだけは特別で 「警視総監」の階級があてがわれます。
(警察官の階級)
第六十二条 警察官(長官を除く。)の階級は、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする。
警察庁とは
警察庁は、全国の都道府県警察を指揮監督する組織です。
警察内部では「察庁 (さっちょう)」「本庁(ほんちょう)」なんて呼ばれ方をします。
役割としては、犯罪捜査というよりも、警察全体の予算取りや企画などの警察行政の役割を担います。
警察庁の職員は官僚!?
警察庁の職員は、国家公務員試験に合格したキャリア・準キャリア官僚達です。
警視庁よりも遥かに採用試験は難しく、採用時の階級もノンキャリ警察官とは差が付けられます。
キャリアは警部補から、準キャリアは巡査部長からスタートとなり、巡査からスタートとなる警視庁とは進む道も異なりますね。
警視庁と警察庁は何が違う?
仕事における役割が違う
警視庁と警察庁は、それぞれ警察組織ではあるものの、担う役割が異なります。
警視庁が都内における治安維持活動を行うのに対し、警察庁は全国都道府県警の元締めのような仕事を行います。
自衛官でいうところの「制服組」と「背広組」はご存知でしょうか?
自衛官で言えば、現場で災害救助等の活動を行うのが制服組で、デスクワークメインなのが背広組です。
警察組織でいえば、
・制服組=警視庁
・背広組=警察庁
のイメージで、警察庁の人間が現場で活動を行うことはほぼありません。
警視庁と警察庁、偉いのは警察庁!
警視庁と警察庁について述べてきましたが、組織の立場的に偉いのは警察庁です。
警視庁は、他府県警よりは少し格上の位置付けではあるものの、あくまで東京都を管轄する警察組織です。
その点警察庁は、全国都道府県警を指揮監督する立場であるため、どちらが上位の組織かと言われれば、警察庁に軍配が上がりますね。
当然ですが、警察庁長官と警視総監、どちらが偉いかと言われれば、当然警察庁長官ですね。