PR

ハトをひいたら罪になる?タクシー運転手が逮捕されたのはなぜ?【元警察官解説】

この記事を書いた人
yotaro

警察歴8年、元某県警の巡査部長。
結婚を機に転職し、今は別の仕事をしています。
警察に興味のある方や、警察官試験に興味のある方向けに情報を発信しています。
実際の現場で経験した「リアルな声」をお届けしたいと思っています。

yotaroをフォローする

こんにちは、元警察官のyotaroです。

今回解説するのは、

「ハトをひき殺した疑いでタクシー運転手が逮捕された事件」です。

内容は下記のとおりです。

ハトひき殺した疑い、運転手逮捕 「道路は人間のもの」と供述

2023/12/05

 東京都新宿区の路上で、運転するタクシーでハト1羽をひいて殺したとして、警視庁新宿署は5日までに、鳥獣保護法違反の疑いで、東京都中野区のタクシー運転手小沢敦史容疑者(50)を逮捕した。署によると、容疑を認めており「道路は人間のもので避けるのはハトの方だ」と供述している。

 逮捕容疑は11月13日、新宿区西新宿1丁目の路上で、カワラバト1羽をひいて殺した疑い。

 署によると、小沢容疑者は、停止線の先頭で信号待ちをしていた際、青信号に変わって急発進し、前方の直線道路上にいた数羽のハトに突っ込んだという。当時客は乗せていなかった。

 近くにいた通行人の女性が110番した。

© 一般社団法人共同通信社

https://nordot.app/1104576525622281026?c=39550187727945729

この事件、だいぶセンセーショナルな報道がされていますね。

「鳩をひいただけで逮捕になるなんておかしい!」

とか

「虚構新聞のネタじゃないの?」

なんて意見もネット上では見受けられます。

確かに、

「鳩を引いただけでなんで逮捕までいくの!?」

といった感想を持つのもわかります。

しかし、よくよく考えてみれば逮捕も納得の事件です。

以下解説していきます。

スポンサーリンク

交通事故は「過失」があることが前提

そもそも今回の事件は、交通事故ではありません。

今回の事案は、車を用いて鳩を殺した事件です。

事故は「過失」があることが前提です。

例えば、車で人をわざと引き殺したら、過失運転致死傷の罪ではなく、殺人の罪に問われます。

車を凶器として用いて、人を殺したということです。

本件は交通事故ではなく鳥獣保護法違反になる

「鳩を見落とした」などの過失があって鳩を轢き殺した場合、罪に問われることはありません。

しかし、今回は鳩がいるのが分かった上で、わざと轢き殺しています。

よって、事故ではなく鳥獣保護法違反の罪に問われるわけですね。

被疑者の供述からも、交通事故ではないことが明らか

一見してこのタクシー運転手、不服そうな供述をしていますが、「過失=事故ではないこと」を十分認めています。

署によると、容疑を認めており「道路は人間のもので避けるのはハトの方だ」と供述している。

https://nordot.app/1104576525622281026?c=39550187727945729

鳩を認識したうえで、急発進して轢き殺したわけです。

供述からも故意性は十分出ていますね。

目撃情報からも、急発進して轢き殺す状況が認められるので、故意性が十分認められますね。

スポンサーリンク

運転中、誤ってハトなどの野生動物をひいたら罪になるのか?

このニュースを受けて、だいぶ悪い反響が出ています。

「運転中にハトや野生動物を引いたら逮捕される!」

なんて極端な情報で拡散されてしまっています。

しかし、今回のタクシー運転手のように、故意に動物を轢き殺したことが証明されない限り、罪に問われることはまずありません。

過失でハトやタヌキといった野生動物を引いてしまった場合は、物件事故として扱われます。

なんなら今回の事件、目撃者がいなければ、何にもならなかったであろう事案です。

むしろ、通常こういった事案を鳥獣保護法として立件するのは相当困難で、第三者の目撃や運転手自身の故意性、客観的な証拠が揃わないことにはまず立件できません。

このような事件があったからと言って、運転におびえる必要は全くありません。

また、警察による公権力の濫用でもなんでもなく、成立すべくして成立した事件です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
警察お役立ち情報警察官ニュース