こんにちは、元警察官のyotaroです。
静岡県警で不祥事がありました。
無免許運転容疑で誤認逮捕 静岡県警、照会ミス
2023年1月9日 15時35分 (共同通信)
静岡県警沼津署は9日、同県沼津市で無免許運転したとして道交法違反容疑で東京都墨田区に住む韓国籍の男性(42)を現行犯逮捕したが、誤認逮捕と分かり、同日中に釈放したと発表した。男性が免許証を携帯していなかったため、口頭での説明に基づき照会をかけ無免許と判断したが、正しい読みで照会したところ保持者であることが分かった。
山本氏仁副署長は「再発防止に努め、きちんと人定確認を行っていく」と話した。
署によると、男性は9日午前2時半ごろ、沼津市内で車を無免許運転したとして、約1時間後に現行犯逮捕された。
引用元:東京新聞
誤認逮捕!?けしからん!
全くもってその通りです。
ですが、元警察官の視点として、今回の事件に関して
「ちょっと気の毒だなぁ」
と思う点もありましたので、参考までに紹介します。
本件事例は被疑者が外国籍であったため、人定確認が正しく行えなかった
静岡県警沼津署は9日、同県沼津市で無免許運転したとして道交法違反容疑で東京都墨田区に住む韓国籍の男性(42)を現行犯逮捕したが、誤認逮捕と分かり、同日中に釈放したと発表した。男性が免許証を携帯していなかったため、口頭での説明に基づき照会をかけ無免許と判断したが、正しい読みで照会したところ保持者であることが分かった。
引用元:東京新聞
記事内にも記載がありますが、本件被疑者の人定確認(住所、氏名、生年月日)は口頭で行われ、その内容を元に照会をかけた、とあります。
その照会の結果、免許証を所持していない、と回答があったため無免許運転での逮捕となったのでしょう。
ここで運転免許証の所持が判明していれば、
本件被疑者は免許証不携帯(点数無し3000円)の違反となります。まず逮捕はされません。
基本的に人定確認は身分証を用いて行われるもの
基本的に照会をかける時、本人が身分証を所持して入れば、その記載事項を元に照会を行います。
しかし、本人が身分証を所持していない場合、口頭での説明を元に照会を行うことになります。
これが、今回の外国人であるが故の落とし穴です。
仮に、日本人の佐藤太郎さんを照会するとすれば、カタカナ読みの「サトウタロウ」で照会をかけることになります。
しかし、外国人の場合、身分証のカタカナ表記にブレがあることがあります。
例)身分証によってグエンさん、グェンさんが混在していたり・・・
本人がグェンであると言っても、運転免許証上ではグエンだった・・・こんなオチですね。
警察官の過失は大きい
本件について、誤りが起こりやすいシチュエーションであったことは確かですが、警察官の過失が大きいことに間違いありません。
外国人であることを念頭に、照会をすべきであった
前に述べたように、外国人を紹介する際は、こうしたカタカナ表記であるが故の間違いが起こり得ることを念頭に置く必要があります。
何パターンかの読み方で照会を行う、等の方法を執るべきだったと思われます。
深夜帯であるが故に、冷静な判断を欠いてしまったか
本件犯行時間は、午前2時30分と深夜帯です。
深夜帯ともなると、泊まりでいる警察官も限られた人数しか居ないため、逮捕事案ともなるとてんやわんやになることが予想されます。
それ故に、現場の警察官にしても、照会確認する警察官にしても、お互い気が回らなかったのではないか・・・・
また、一般的に現行犯逮捕する際の時間的な要件として、
過去の判例上、犯罪の発生からだいたい30分~1時間以内が現行犯の目安とされています。
今回の現行犯逮捕の時間は、犯行時間の約1時間後です。
署によると、男性は9日午前2時半ごろ、沼津市内で車を無免許運転したとして、約1時間後に現行犯逮捕された。
引用元:東京新聞
現行犯逮捕としてはギリギリの時間ですね。
この辺からも、深夜帯で警察官の人員も少なく、焦りが出てしまったんだろうな・・・と想像が出来ますね。
再発を防止するためには?
山本氏仁副署長は「再発防止に努め、きちんと人定確認を行っていく」と話した。
引用元:東京新聞
副所長のおっしゃる通りですね。
ま、実際はハインリッヒの法則にある通り、本件事案の背後には様々な要因が絡んでいるんでしょうけどね。
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