こんにちは、元警察官のyotaroです。
今回は、「警察と公安の違いはなに?」という疑問についてお答えします。
ドラマや漫画などでよく耳にする「公安」という部署は、いったいどういう位置づけなのか?
この記事で解説していきます。
前置き: そもそも公安とは?
公安と言っても、実は「公安」の名を冠する組織は複数存在します。
それぞれの「公安」 組織について解説していきます。
公安委員会→警察とは別の組織
公安委員会は、警察組織を監視する上位監督機関です。
公安委員会は、犯罪捜査などに従事することはありませんが、各県警の運営を管理する立場にあります。
警察法
第二節 都道府県公安委員会
(組織及び権限)
第三十八条 都道府県知事の所轄の下に、都道府県公安委員会を置く。
2 都道府県公安委員会は、都、道、府及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の規定により指定する市(以下「指定市」という。)を包括する県(以下「指定県」という。)にあつては五人の委員、指定県以外の県にあつては三人の委員をもつて組織する。
3 都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。
4 第五条第五項の規定は、都道府県公安委員会の事務について準用する。
5 都道府県公安委員会は、その権限に属する事務に関し、法令又は条例の特別の委任に基いて、都道府県公安委員会規則を制定することができる。
6 都道府県公安委員会は、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000162
公安調査庁→警察とは別の組織
公安調査庁は、極左、右翼、宗教団体等の情報収集・分析を行う組織で、警察とは別の組織です。
「公調」とも呼ばれ、業務の内容としては若干警察の公安と被るところもあります。
しかし、仕事の手法は警察とは少し異なっており、お互い相容れない関係となっています。
警察組織ではないため、事件捜査をするための「捜査権」は持ちません。
警察組織内の公安部門→いわゆる「公安警察」
警察組織内に、極左、右翼、国際テロといった「公安事件」の担当をする部署があります。
いわゆる「公安警察」は、この警察組織内の公安部門のことです。
刑事警察が刑事事件を担当するように、 公安警察は公安事件を担当します。
ドラマや漫画で出てくる「公安」は、ほとんどが「公安警察」のことを指しています。
結論:公安=公安警察は警察内の組織の1つ
「公安」と名を冠する組織についてまとめてきました。
結論から言えば、テレビや漫画で活躍する「公安警察」は、警察組織の1部門であり、違う組織ではありません。
警察組織が刑事部、交通部、生活安全部等と別れているように、公安警察も「公安部」として警察組織内に存在しています。
警察から独立した公安警察、というのは完全なるフィクションです。
公安ってスパイなの?
公安というと「スパイ」というイメージを抱かれる方も多いと思います。
どこかの捜査対象の団体に身分を隠して潜り込んで、内部の情報収集を行う、といったイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、そういった身分を隠して潜り込むような「スパイ」は完全にフィクションの世界です。
仮にも公務員である公安警察官、そこまでの危険を冒させることはできません。
わざわざ自分自身がスパイとして潜入せずとも、情報収集の方法はあるわけです。
公安警察になるにはどうすればいい?
公安警察になるためには、 まずは県警の警察官として採用され、地域警察官としての実績を積むことが必要です。
「警察学校を優秀な成績で卒業したから即公安に配属!」みたいな話はありません。
どんな警察官でも、警察学校卒業後は地域警察部門に配属され、警察活動の基本を学びます。
地域警察官として地道に活動する中で、警察署の警備部・公安部の人間の目に留まれば、公安警察への道が開けます。
特別優秀でなくとも、エリートでなくとも、公安になることは可能です。